アブラの呪縛

 
今までも少なくはなかった外食だが、引越しのサカイ…もとい引越しを境に激増している。
有り体に言えば毎日プチグルメツアー開催中だ。
   
先日、ラーメン屋でトンコツの油ギトギトラーメンを食している時にふと気が付いた。
そういえば最近油モノばっかり食べてるな…。
鼻の頭にはそれを象徴するかの様に玉の如き脂が浮いているではないか。
おまけに腹のあたりにも少々脂がダブつき気味。
   
これはイカン。油抜きせねば。
でも…えーい明日から〜♪ おじさーん味濃い目でもう一杯ね☆
      
などとダイエット失敗続きの女子校生みたいな台詞を吐きたいがグッと堪え、とにかく一念発起。
   
   
しかし、油抜きダイエット推奨第一人者であった某・「美白の女王」は、それが原因で早世したとの噂も有る。
油抜き即ち脂溶性ビタミンの吸収を妨げるという訳だ。
   
調べてみると、適正な油の摂取量は成人で1日15〜20g
      
朝出がけにコンビニで肉まん食べて
昼は唐揚げ弁当
夜にトンコツラーメン
      
…ゆうに適正摂取量の5倍は超えているな。
   
とりあえず油の少ない飯屋を探す事にする。
自炊という文字は余の辞書には無い。そのページだけ破り捨てたからな。
      
しかしこれがまた難航。
まずトンカツ屋・ラーメン屋・中華関係は全て切り捨て。
牛丼屋・ハンバーガー屋も駄目。
和風定食屋でもうっかりすると唐揚げや脂身たっぷり豚の角煮なんか出てきたりする。
抗えない。食べる。旨い。
      
蕎麦屋に入る。これなら流石にと思いきや、そば粉を練って油で揚げたお菓子が前菜に。
よく見ると蕎麦つゆにも油が浮いている…。
   
嗚呼。
人は油無くして生きてはいけないのか。
   
   
その晩、はるか昔の事を思い出した。
北海道ローカル番組「どさんこワイド」のコーナーで霊能力者姉妹・観さん神さんが言っていたっけ。
      
「この人はセミの霊に取り憑かれています」
…それは何ゼミですか?
「…アブラ」