丑三つ時より漆黒な

mongkang2006-03-27

 
「今日、エロゲ大人買いしちゃってさ。
あ、エロゲは大人しか買えないか(笑)」
 
などと、会うやいなや小粋な秋葉ジョークをカッ飛ばしかねない類の知り合いからゲームソフトを頂きまして。
尤も、類は友をなんとやら とかいう諺も有るのでこれくらいで控えましょうか。
一つだけ。このソフトとのトレーディングに出したブツが
 
「週刊・わたしのおにいちゃん」全5巻+増刊
 
であった事だけ明記しておこう。
ヲタ人格の切り売りも程々に。
 
夜明け前より瑠璃色な

[大昔に月に渡った人々が作ったスフィア王国(月王国)。
だが、数百年前に起こった戦争以降、地球と月の関係は冷え切った状態が続いている。
 
地球における唯一の窓口である「満弦ヶ崎中央連絡港市」に王国大使館・月人居住区画・王立月博物館などが設置されているものの、一般市民の月との往還はほとんどなくなっていた。
 
そんな満弦ヶ崎中央連絡港市に住む朝霧家に、月王国の姫君がホームステイすることになった。
 
一人の男子高校生(主人公)とその義妹、一家の面倒をみている従姉妹の平凡な日常が今、劇的に変わろうとしている…]

(あらすじ・大筋Wikipediaより) 
 
その筋の方々*1の間では通称「あけるり」「けよりな」等と呼ばれているゲームです。
多種多様な大障害を乗り越える純愛をメインテーマに、家族の絆をサブテーマに据えるという中々読み応えのあるストーリーでした。
テキストだけ読んでも下手な短編小説よりよほど面白い、と煽っておきましょう。
 
まぁぶっちゃけゲーム上重要なのは
「ホームステイしてきた月王国の姫様を堕とせる*2か」
なのですが。
 
しかも、姫様を篭絡しクリアした後は、
 
1・姫様お付のメイドさん
2・幼馴染の巨乳女子高生
3・従姉の優しいおねえさん
4・血の繋がっていない義理の*3
 
が攻略可能に。
 
まるで、フォアボールで出たランナーをバントで送り ライト前に流し打ったヒットで返すが如きそつの無さ。
「いやらしい攻撃」とは正にこの事か。
 
 
しかしプレイしている内にそんな事は忘れ、荒唐無稽な物語の行方を真摯に追っている自分がいました。
父親が行方不明、母親を亡くし従姉に家の面倒をみて貰っている他はごく普通の高校生である主人公と、月の王国の姫様との禁じられた恋愛。
 
二人がお互いの想いを伝え合うまで、また交際を認めてもらうまでにも幾度となく立ち塞がる、目も眩む程の高い障害。
 
…なんでこう「道ならぬ恋」は燃えるのでしょうか。
 
思うに男のセックスにおいての快感は、愛情と罪悪感に比例するのではないか、と。
そう考えると健全な形でその二つを備えていればヒートアップしてしまう事も頷けるのです。
 
愛情に快感指数の傾く人は、生涯の伴侶を求め幸せな家庭を造る事に於いて快感を得、
罪悪感に傾く人は、不倫や浮気も厭わずフリーセックスを謳歌する事により快感を得る。
 
そして罪悪感によってしか快感を得られない様になってしまった輩が、痴漢や強姦等の犯罪行為に走るのではないか。
 
 
ゲームに話を戻して、最後にはハッピーエンドを迎える二人なのですが、何故か生じる違和感。
 
「月と地球は長い戦争を経て半ば国交断絶状態。月の姫と地球人が結婚するのに盲目的な妨害者の姿が見えないのはどうだろうか」
 
所詮エロゲの荒唐無稽なお話なのは百も承知なのに、リアリティを求めてしまうのです。
そしてアンハッピーエンドを望んでしまう自分。
 
恋愛がこんな安易に、綺麗に終わっていい筈が無い。
見果てぬ夢の果てた後にあるのは、見渡す限りの砂漠か高く険しい断崖か。
 
根っこの部分でそう思っている私の歪みは、午前二時の漆黒の闇の様に。
 

*1:エロゲヲタ

*2:落とせる とは微妙に異なる

*3:義理なら当然血は繋がっていないのだが、このフレーズが無いと萌えない方も多いので。