着物の色香に誘われ秋祭り(句跨り)

mongkang2006-10-13

 
神田で仕事を済ませた帰り、山手線の中で粋な和服のおねえさんを見掛けた。
茶系格子柄の小袖に淡い桜色の帯。
錆び朱色の角底巾着を片手に下げて。
 
思わず色香に釣られて降りた駅は新大久保。
ついでに空腹を満たす為に大久保駅へ至る通りを歩く。
 
雨上がりの改札、喧騒からわずか30秒程で細い横道に気付く。
手前には数件の露店、奥にこじんまりした神社が見える。
 
大通りから一歩外れ、石畳の道を踏みしめる。
自動車の排気音の代わりに祭り囃子が聞こえ出した…。
 
 
それは小さな小さな秋祭り。
50メートル程の小道に並ぶ露店は僅か6軒。
それでも祭りを彩るには充分。
やきそば、りんご飴、バナナチョコ、小物アクセサリー…
子供の頃にお小遣いを貰って駆け出し向かった露店、そのままで。
 
ひとしきりノスタルジーを感じると空腹を思い出した。
「特製」と銘打ってあるチープなソースやきそば400円也をひとつ。
…旨い。
神社境内特設ステージからの、祭り囃子生演奏が最高のスパイス。
 
東京音頭に合わせて拙く踊る人達を観ていると子供達のはしゃぎ声が聞こえてきた。
どうやら潮時のようだ。
 
鞄を脇に抱え直し、5・6歩横に外れるとそこはいつものコンクリートの道。
心と腹を邂逅で満たして、帰路に着いたのであった。