命なくとも物種
アメリカでは毎年「ダーウィン賞」という賞が、ある種の偉業を成し遂げた者に対し送られている。
Darwin Awards
http://www.darwinawards.com/darwin/
受賞する為の理由は、トンデモなく愚かな方法で、自分という存在を人類の”遺伝子プール”から抹消した人間に対して、
バカな遺伝子を減らし、人類という”種”の存続の可能性を高めた功績を讃える為…という文字通り命がけの栄えある賞である。
要するに、馬鹿々々しい死に方を遂げた事により人間の遺伝子からお間抜けな部分が除去され、結果として人類の存続に多大な貢献をした故人に送る、というなんともアメリカらしいブラックジョークに溢れたコンテストである。
日本でも「死ぬかと思った」という本がロングセラーとなっているが、故人を対象にしているだけあってアメリカはやはりスケールが違う。
ウェブサイトでの人気が高じて映画にまでなってしまったのは2年前の事。ウィノナ・ライダーが出てた様な気がする。
ダーウィンアワードの評価基準は次の5つ。
1・遺伝子プールから自分を抹殺すること
2・あり得ない判断力の欠如を示すこと
3・自業自得の死であること
4・まっとうな判断力を備えていること
5・裏の取れる事例であること
更に、紹介されている記事は大きく4種類に分かれる。
1・受賞作品
2・選外佳作
3・都市伝説
4・投稿作品
都市伝説は公式記録やコメント等の裏が取れていないもの。尚、信憑性の低いものは最初から候補除外される。
だが、この都市伝説のレベルが、超えてはいけない一線を3キロほど超えている。
最高峰の一例を。
『 性交チューの出来事 』
「今にして思えば、マッチに火をつけたのが大きな間違いだった。だけど。僕はただネズミを取り出そうとしただけなんだ」
と、ディック・グレイソンは緊急治療室で、困惑する医師たちを前に語っている。
グレイソンと、彼の「お相手」であるトニー・マロニーが緊急処置を受けるハメになったのは、肛門性交の最中にきわめて困った事態になったせいだった。
「トニーの直腸にダンボールの筒を押し込んで、そこにラゴットをすべりこませたんだ。ラゴットって、僕らが飼ってたネズミの名前なんだけど」
と、グレイソンは説明した。
「トニーは『 ハルマゲドン! 』って叫んだ。『 もう充分 』っていう、いつもの合図なんだ。
だからラゴットを取り出そうとしたんだけど、出てこなかった。
それで筒をのぞきこんで、マッチを擦った。明かりがあればラゴットをおびきだせると思ったから」
この一件を知らせる記者会見に臨んだマスコミは、誰もがかたずをのんで話の続きを待った。
病院広報担当者は次のように説明している。
「マッチで腸内に溜まったガスが燃えあがり、筒から炎が吹きだしました。そしてグレイソン氏の髪に火がつき、顔にもひどい火傷を負わせたのです。
ネズミの毛とヒゲにも火がついて、さらに腸の奥のガスに引火して、ネズミは大砲の弾のように飛びだしました」
グレイソンは第二級の火傷を負ったほか、ネズミがぶつかった衝撃で鼻の骨が折れた。
一方マロニーは、肛門に第一級の火傷、下部腸管に第二級の火傷をした。
ネズミがどんな運命をたどったか、記者会見では明らかにされなかった。
繰り返すが、信憑性の低い作品は載ることすらない。
そんな中で見事にダーウィン賞を受賞した作品の中から短いのを二つほど。
『 ニワトリは溺れない 』
南エジプトのとある村で、井戸に落ちたニワトリを助けようとして、総勢6名が溺れ死ぬという事件が起きた。
最初に一人の若い農夫が深さ18メートルの井戸に飛びこんだ。しかし、井戸の底を流れる水路に呑みこまれ、溺れた。
「兄ちゃんを助けよう」と農夫の妹と2人の弟が次々と飛びこんだが、いかんせん3人とも泳げなかったので、あえなく溺れた。
さらに年配の農夫2人が助けに駆けつけた。だが、やはり泳げなかったのでまたしても流れに呑まれ、溺れてしまった。
結局、6人とも死体となって、カイロの386キロメートル南にあるナズラート・イマラという村の井戸から引き上げられた。
このときニワトリもいっしょに引き上げられたが、こちらは生きていた。
(出典・AP通信)
『 不便なジャンプ傘 』
剣を飲み込む曲芸師が、ドイツのボンで事故死した。
思いつきでジャンプ傘を飲み込んでみせたはいいが、うかつにもボタンに触ってしまい、傘が開いたからである。
(出典・UKニュース・オブ・ワールド、KCBSニュースラジオ)