臭いモノに蓋

 
某HPにて見た方もおられると思いますが 私、8月にお手紙を頂きました。
要約すると
 
「この物件は老朽化により震度5以上の地震に耐えうる事が出来ない可能性が出てきました。よって10/31までに転居をお願い致します」
 
で急遽引っ越した訳なのですが…いや、平成元年築で老朽化ってのもどうなんだろう、と思ってはいたんだけどね。
例の「シスターデンタル」元一級建築士が設計したグランドなんちゃらとかいうマンションも近隣に建っておりもしや…と思わせるが、残念ながら元住んでたアパートを誰が設計したのかは既に確認の術も無く。
 
 
そして今、構造設計偽造問題真っ盛り。
そも偽造問題の直接の原因の一つは、本来「官」の仕事であった建築構造計画の検査を「民」に受け渡した事ではないだろうか。職業倫理の低下云々は勿論だが、ここではひとまず置いておこう。
 
行政機関から民間検査機関となれば当然利益第一主義へと方向転換を強いられる。
例えば件の「イーホームズ」はこの1年間で2000件の建築物件を検査するのに要した検査員は僅かに2人。
大体、同じ穴のムジナに、身内のムジナの不正を暴ける訳が無い。結果、設計書類に印をめくら押し、となる。
 
 
さて、一方政府はというと、これに対し珍しく速攻で公的資金投入を決定。
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20051206AT1F0501T05122005.html
 
マンションの解体費用・居住者の引越し代金・仮住居の家賃・不良マンション買取り代金・新マンションの建築費・被害者への大幅割引分譲の差額
 
これらを全て税金で賄うという訳だ。大英断ですな(苦笑)
 
しかし、小泉政府のモットーは「自己責任」だった筈では?
国会で何度も聞かれたアレは口だけだったと?
手のひら返した様に今度は「民民の問題と割り切ることは適当でない」ですかそうですか。
 
責任問題もはっきりせぬまま個人資産を税金で補う事が、割り切る事は出来ないの一言で決まったのに対し、天災である地震で自宅を失った新潟 山古志村の方々は、その一言すら無く仮設住宅で2冬過ごさねばならないのである。
不平等極まりないとは正にこの事だ。
 
こんなド素人でも突っ込めるくらいだから当然政府でもそれくらい承知しているだろう。
では何故それでも押し通すのか。
 
このまま議論が泥沼化し官から民による検査移行が遠因となれば、郵政を初めとした各種「民営化路線」に横槍が入るのは必至。
それをかわす為に、政府は直接責任も無いのに異例の即決税金投入で早期沈静化を図ったのではないだろうか。構造改革の歪みを明るみにしたくないが為に。
 
検査機関を独立させるという努力をしていれば、少なくとも今の様な事態は防げた筈だ。
それは決して「民」では出来ないという訳ではないが、最も端的に現せるのは「官」によるものではないかと考えるのである。
 
  
郵政民営化を行った国々はことごとく失敗。
唯一成功していた、と言われているドイツも今では火の車、日本でいう郵貯にあたるポストバンクは経営に行き詰まり、ドイツポストに買い叩かれる始末。
 
郵政民営化反対の立場を貫いている私としては、どこかに 骨の有る野党が存在するならば、ここいらへんまで話を展開して欲しいのだがね……
最後に少し話がずれたか。
 
国土交通省・大臣会見 閣議及び質疑応答要旨
http://www.mlit.go.jp/kaiken/kaiken05/kaiken.html