『超投神グライシンガー』 第27話「ジングー戦線報告書」
ふう…ここがジングー軍の本拠地か。
思ったよりも小さいな。
ああ、私か? 私はしがない従軍カメラマンだ。コンビを組んでいたライターが戦死しちまったんで、慣れない文字も書かねばならんのが目下一番の悩みだ。
そんな訳で文章にはあまり期待しない方がいいだろう。
今日は巷で噂になっているグライシンガーってえヤツをひと目拝ませて貰おうと思いやってきたんだ。
戦場へ向かう途中でラミレス上級大将を見掛けた。
いかつい顔つきに似合わず「アイーン」「ゲッツ」等、東洋の小国の伝統芸を得意とする芸達者なヤツだ。
市民の握手にも快く応えている。
更に進むと今度はヤエガシ大尉とすれ違った。
現役の頃から変わらぬ風格を腹に備えている。実に頼もしい。
警備員に許可証を見せ戦場に入ると既にグライシンガーはウォームアップを始めていた。
線は細いが軸がブレず安定した投擲を見せる。
今日のジングー軍はモウコ軍の侵攻を迎撃する形となっている。
正直なところ明らかに劣勢だ。 昨日も大敗を喫している。
既にフルタ司令の進退を迫る声が上層部で出始めている、という話も聞こえてくる。
一方モウコ軍は昔と違い戦力を充実させている。
モウコといえば、創始者『アサショーリュー』が建国*1、古の勇者『バルス』を擁して世界制覇を成し遂げた後は暗黒時代を迎え衰退著しかったのだが、近年では効果的に戦力を補強していた。
当時バルスと共に戦ったドンデンが現在指揮を執っている。
気が付くといつしか日も暮れ始め、戦いの時を迎えようとしていた。
ジングー軍はグライシンガー自らが先制の打撃を与え、戦いを有利に進める。
しかし、異変は思ったよりも早く現れた。
自慢の精密さを誇る投擲が悉く外れ、被弾はないものの3度の侵攻*2を許している。
無理もない。前回の出撃から中4日、整備も調整もままならぬ状態での迎撃だ。
この強行軍がジングー軍の台所事情を如実に物語っている。
それでも投擲フォームに崩れは見られなかった。
調子が悪くとも圧倒的なスペックの差で要所を締め、モウコ軍の追撃を許さない。
これが超投神…か。成る程、噂になるのも頷ける。
前日に直撃弾を放ちジングー軍に大打撃を与えた新鋭・サクライに一撃浴びたものの他を寄せ付けない。
ジングー軍の誇る高性能機動ユニットを駆るアオキも、覚醒したヒロヤスと共に的確な攻撃を与えていた。
そして、この日はフルタ司令に勝算があった。
自らは指揮に専念し、代わりにマツモト博士の開発した新兵器・U−1*3を実戦配備していたのである。
戦いも中盤に差し掛かろうというところで、突如その新兵器は火を吹いた。
その一発でモウコ軍のスギヤマは轟沈。
なんと恐るべき破壊力だろう。正にグランドスラムと呼ぶに相応しい一撃であった。
しかしただ手をこまねいているばかりではない。グライシンガーを警戒していたモウコ軍にも勿論備えがあった。
戦場の外周で不穏な空気が流れ始める。
そして軍歌*4を歌い終わるや否や、一斉に何かを解き放った。
ミノフスキー粒子か!
思わぬジャミングに巻き込まれ、私のカメラも使用不能に陥ってしまった。*5
まだだ、まだメインカメラをやられただけだ!
幸いサブの機材があるので取材は続行可能であった。
対するジングー側もそれを想定してか、各人透明なフィルム状の防衛アイテムを振りかざしジャミングを防いでいた。
やはり酷使による整備不足を懸念していたのだろう。この日フルタ司令はいつもよりかなり早めにグライシンガーを帰投させた。
後を継いだハナダ・タカイ共にこの日 は 無難に役目を務めあげた。
野戦病院長のタカツが職務怠慢でトダ牧場に左遷された後はクローザー不在が続いていたジングー軍であったが、最近はタテヤマがその位に就いていた。
タテヤマは金属専門の技師でキャパシティと汎用性には定評があるが、アルミ二ウムを多用するので*6防御力に難がある。
ただこの日はモウコ軍も戦意喪失気味で、ダメージを受ける事もなく無事勝利を収める事が出来た様である。
こうして8月23日のジングー迎撃戦においてグライシンガーは13勝目を挙げた。
と、これだけでは少々味気ないな。
では、戦場に咲いた一輪の花を。
ミノフスキー粒子除去に努める*7ジングー軍の女性隊員の姿をお伝えしてこのレポートを締め括るとしょう。
おっと、プライバシーの関係上後ろ姿だけだ。
彼女のプリティなフェイスを拝みたいなら貴公もジングーまで足を運ぶんだな。
1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
阪神
0 0 0 0 1 0 0 0 0 1
ヤクルト
0 1 4 0 0 0 3 0 X 8
観衆数:22542人
勝利投手 グライシンガー(13勝4敗)
敗戦投手 杉山 (4勝5敗)
本塁打 [ヤクルト] ユウイチ1号(3回裏満塁)
撮影データ:(前半) オリンパス OM-4Ti+ズイコー 200ミリF4+テレプラスMC7 フジカラーNATURA1600 (後半) FUJI FinePix A310