『超投神グライシンガー』 最終話「超投神よ永遠に」
グライシンガーは過去の激戦により極度に疲労していた。
中4日の出撃が続き、100%の性能が出せないまま戦いを終える事も多くなった。
パイロットのフクカーも戦線を離脱する事が増え、代わって若いカーモトがその役を務めている。
そして前回の出撃でカープ軍・ブラック魔王*1に大敗を喫する。
その時に受けた痛手も癒えぬまま今夜はモウコ軍を迎え撃つ事になってしまったのだ。
グライシンガーも判っている筈である。これが最後の出撃になるのだ、と。
モウコ軍はグライシンガーに対抗すべく造りだした超兵器・ボーグルソンを温存。
新兵器のウエゾノを対ジングー軍最終戦の尖兵として繰り出す。
ここで勝つと今期新兵器の中で最も高い評価を得る事が出来るだろう*2というドンデン*3の思惑も絡んでいた。
ラミレス上級大将はいつも通りのパフォーマンスに余念がない。
本人は飄々としているが今期は200近くもの攻撃を命中させており、記録更新も望めるほどの好調ぶりである。
戦局は芳しいものではなかった。
序盤からアオキが機動力を生かして侵攻するも無残に撃墜*4。
逆にモウコ軍の眠れる虎・イマオカに直撃弾を浴びてしまう。
更にハタケヤマの大チョンボ*5も重なり広がるピンチ。
「くそっ!軍法会議ものだ!」
前回の対戦でも苦戦した新鋭サクライにも攻撃を受け、劣勢は続く。
しかしグライシンガーも最後の力を振り絞る。
カーモト:「チェンジ・アップだ!*6グライシンガー!」
伝家の宝刀で2WAY攻撃兵器・リン*7を一刀両断。
アオキに匹敵する機動力を持つレッドスター*8に対しても、これを巧みな牽制で誘い出し狭殺。
そして
「奥でくすぶっている訳にはいかぬ。私も出る」
ついにフルタ司令自らが戦場に赴く。
ドンデン:「くっくっくっくっくっ、圧倒的じゃないか、我が軍は。
…む。あれはジングーの27番艦。とうとう尻に火が付いたとみえる」
楽観視するモウコ軍中枢部をよそに、Big brother・カネモトは気を引き締めていた。
「フルタには過去何度も苦渋を舐めさせられた。今は老いたりといえど油断は禁物だ」
フルタは見事に右舷中央防御壁に攻撃を命中させ*9一矢を報いた。
「礼を言うよ、私に華をもたせてくれて」*10
湧き上がるジングー。
しかし後続を絶たれてしまう。
そして、ジングー軍を幾度となく失望に突き落とした渦中の男・キダが守りに付いた。
案の定、瞬く間に攻撃を浴びてしまう。
「おっと。これくらいにしておかないと。
ジングーを内部崩壊させておけば来期はラビット軍*11で好待遇で迎えられる手筈になっているとはいえ、攻撃を喰らいっぱなしでは印象も悪くなるってもんだ」
すんでのところでリンの攻撃を避け、帰投するキダにヤエガシが声を掛けた。
「ラビット軍のスパイが吐いたぞ。年貢の納め時だな、キダ。
ああ、ラビット軍は戦力も充実したのでもうオマエは用無しだそうだ。
あえて言おう、カスであると!」
キダはただ呆然とするばかりであった。
そんな裏の一幕をよそに、戦いは大詰めを迎えていた。
モウコ軍の守護神・フジカーの出撃である。
フジカーはその圧倒的なスピードでジングーの攻撃を全く寄せ付けない。
戦いはそのまま終焉を迎えた。
「ジングーが…陥ちたな…」
西の空にあけの明星が輝く頃、1つの光が宇宙へ飛んでいく。
それがグライシンガーであった。
「フルタ司令。グライシンガーはまたジングーに帰ってきてくれるでしょうか…」
ヤエガシが珍しく不安そうな面持ちで問う。
「グライシンガーを引き留めるだけの魅力が、果たして来期のジングーにあるだろうか。
それは今期で引責辞任する私には判らない。
だが、それでも信じようではないか。また、超投神がこの地に戻って来る事を…」
『超投神グライシンガー』 完。
※この作品はフィクションです。実在の人物・団体・事件・機動戦士ガンダム・エリア88・ウルトラセブン・東京ヤクルトスワローズ球団などには全く以っていっさい関係ありません。
阪神
0 1 2 0 0 0 0 0 0 3
ヤクルト
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
観衆数:23731人
勝利投手 上園(8勝5敗)
セーブ 藤川(5勝5敗46S)
敗戦投手 グライシンガー(16勝8敗)
本塁打 [阪神] 今岡4号(2回表ソロ)
セス・ノート*12とか、コロニー落としでこれがホントの引責(隕石)辞任とか使い切れなかったネタが多すぎたが、とりあえずこれにて完結とさせて戴きます。
撮影データ:オリンパス OM-4Ti+トキナー 100〜300ミリF4 フジカラーNATURA1600