淘汰されゆ…かない雑誌

 
出版不況と言われて久しい。
特に最近になって、その出版社の、かつての看板雑誌を休刊するケースが増えている。
主婦の友」(主婦の友社)、「ログイン」(エンターブレイン)、「コミックボンボン」(講談社)、「月刊少年ジャンプ」(集英社
かつては書店の平台の一角を確実に占めていた定番雑誌が、時代の波に押され消えていった。
 
ここ2〜3ヶ月程で、休刊が発表された雑誌は
 
講談社
「KING(キング)」
「Style(スタイル)」
「月刊現代」
「マガジンZ」
クロスワードin」
 
集英社
「PLAYBOY日本版」
「ロードショー」
 
小学館
「月刊Judy」
ラピタ
「Latta」
 
(マガジンハウス)
BOAO(ボアオ)」
 
世界文化社
「GRACE」
 
朝日新聞社
論座
 
大手出版社の雑誌休刊が目立つ。特に小学館講談社は今年 既に5誌の休刊を決定している。
小学館広報担当曰く「出版界全体にアゲンストの風が吹いている」。
ファッション誌の改廃も激しい。ここ2〜3年での創刊ラッシュも記憶に新しい一方で「Style」「BOAO」「GRACE」と今回立て続けに3誌の休刊が発表されている。
 
ネット普及やフリーペーパーの台頭、「ミニマムライフ」の進行等に起因する20〜30代の対象世代の雑誌離れの影響は大きい。
それによる発行部数の低迷(による広告収入の減少)が主な休刊の理由となる。
 
しかしである。書店に行けば相も変わらず雑誌が所狭しと並んでいる。
それもその筈である。休刊誌以上に創刊誌があるからだ。
因みに2007年の創刊は183誌。今年になってからも既に80誌以上が創刊されておりここ数年の創刊数は ほぼ横ばい。書店員の苦悩が終わることはない。
 
雑誌コードを確保しておきたい中小出版社の思惑等もあるのだろうが、この創刊数は多すぎる。
ニーズに相反し、赤字を覚悟してまで新創刊する意図はどこにあるのだろう。
 
 
雑誌は二匹目・三匹目のどじょうどころか幼魚・卵まで虎視眈々と狙っている様な状況なので、今更大当たりを望むのは難しいと判っている筈なのに。
脳トレが流行った頃に雨後の筍の如く創刊されたクロスワード系の雑誌など、雑誌担当でも全ての雑誌名を覚えている人は皆無だろう。
 
直近では、ブランド物の付録を付けた女性雑誌が乱立している。
宝島社が「キャス・キッドソンへようこそ」で当ててからまた火が付いた感が強い。
今回も「Cher」が売れているが当然の様に慢性品薄状態である。
そして集英社が「seventeen」をリニューアルしてトートバックを付録に付けたのだが、これにカビが生えていたり
チャームが欠けていたりするトラブルが続出。所詮雑誌の付録など中国製という事だ。おかげでこちらは対応に追われる始末。
 
こうなると、あれだけ嫌っていたデアゴスティーニのワンテーママガジンが頼もしく見えてくるから不思議だ。
付録付ける手間はない、専用ビニール袋は付いている、販促POPも毎回ちゃんと送ってくる。
 
 
雑誌復権の目途はたっていない。今後も休刊誌は増えていくだろう。
出版社にとっても、勿論書店にとっても厳しい状況はまだ続く。
単なる商品情報やサービス情報ならばネットで代用できる。紙媒体独自の切り口で情報の本質を提示し、知的好奇心を満たさせる事が必要だろう。
 
付録で釣っているような売り方では活字文化の先は暗い。