超投神グライシンガーG  最終話「ドッグ・ファイト」

mongkang2008-10-11

 
グライシンガーを奪われた後のジングー軍の様相は酷いものであった。
魔将ガイエル将軍はその力の殆どを失ってシーズンの多くを療養に費やさざるを得なかった。
イシカー少年の覚醒やフューラー・タカダが連れてきた外人部隊の活躍があったものの、見ての通りジングーの地はハラ率いるラビット軍に蹂躙を許す始末*1
 
 
特にグライシンガーとラミレスには完膚なきまでに叩きのめされ、敵となって改めてその威力の凄まじさを思い知らされた。
グライシンガーの出撃した戦いでジングー軍は6戦5敗、対戦防御率1.24と無残な有様。
そう、初戦で土を付けて以降は全て敗北を喫していたのだ。
ラミレスからは何度被弾したか思い出すのも憚られる。
 
そして最終戦となるであろうこの日もグライシンガーは吼えた。
バルカン・チェンジが冴え渡り、ジングー軍に攻撃の隙を全く与えない。
 
ジングー軍は旧兵器・ゴンザレスを改修して立ち向かうが、両者の性能差は歴然としていた。
針の穴を通すが如き精密射撃を繰り返すグライシンガー。
一方コントロールに難があるゴンザレスは序盤を抑えるので精一杯であった。
名称と性能と成績を対比して、マジンガーZとボスボロットを思い浮かべてしまうのは私だけであろうか。
 
ジングー軍のチャンスの芽を巧みな牽制で摘み取るグライシンガー。

 
案の定、中盤に差し掛かろうという局面でゴンザレスはアベに直撃弾を喰らってしまう。
パイロットを調子づけてしまう痛い一撃である。
ここでゴンザレスを諦めるタカダ総統。
 
 
投入したのは新兵器・カトーであった。
「!?イガラシではないのか」
ハラは不可思議な表情を浮かべた。いや、ハラだけではない。戦場を見つめる殆どの者がそう思ったに違いない。
カトーの性能は未知数。この僅差で実力を発揮するのは極めて難しい。
一方イガラシは実績も豊富で以前の高速弾が復活した上に精度も増し*2今期の防御率は2.53と好調である。後ろにはマツオカもオシモトも控えている。
 
「ジングーはラビットの犬に成り下がった」
 
どこからか、そんな声が聞こえた*3
今期のジングーの対ラビットの戦績は6勝18敗。 声の主を否定する声はどこからも挙がらなかった。
ナベツネーの息がタカダにまで掛かっていたのだろうか、それを知る術はない。
 
カトーにはやはり荷が重かった。
すっかり調子に乗ったアベがタイムリーな攻撃で勝利を濃厚なものとする。
だが好時魔多し。
帰還を焦ったアベは右肩を痛めてしまう。
倒れこみ、足をバタバタさせて痛みをアピールするアベ。
 
担架が出る。すくなくとも軽症ではなさそうだ。
 
 
「くっくっくっ…」
だがナベツネーはこれを見てほくそえんでいた。
怪我人の状態で欠場を匂わせ相手を撹乱するのは短期決戦においての常套手段とも言える。
もし、出場が厳しい程に怪我が酷ければ?
「壊れたら代わりを連れてくれば良い。今期は絶対に負けられぬのだ!」
邪悪と呼ぶに相応しい高笑いが、夜空に響いた。
 
 
戦況はといえば、ハタケヤマが攻撃を成功させ一矢報いるが、
 
グライシンガーの鉄壁を打ち崩す事は出来ない。
 
そしてスクリーンにモウコ軍敗色濃厚の様子が映し出されるや、湧き上がるジングー。

最早どちらの本拠地か判別不能な程であった。
 
大勢が決した頃、突如ラビット軍が集結した。
勝利確定、終戦直前のここまできて、グライシンガーを帰投させるというのだ。
 
そして破壊力の高さに定評のあるクルーンを投入。ちょっと考えられない采配である。
だが一人だけ満足そうな顔で手を叩く者が、居た。
「ふむ。やはり輸入モノは違うな」
やはりと言うべきか、ナベツネーである。
 
 
クルーンは高機動兵器・アオキを無難に仕留め、戦いは終わった。
が、殆どの観衆は席を立たない。
モウコ軍の敗北が決定するのを待っているのである。
電光掲示板に映し出されであろうモウコ軍の劣勢を見る事なく、私は独りジングーを後にしたのである。

  
あと、あと何年、この暗黒時代が続くのだろうかと思いつつ…
 
 
 
超投神グライシンガーG・完。
 
 
 
 
 
グライシンガーが海を越えて大活躍!
残された暗号「にしこり」とは!?
謎の超兵器・スタインブレナーの秘密が今、明かされる!
 
アメリカよ!私は帰ってきた!」
 
次回・超投神グライシンガーNYY
 
第1話『ニューヨークに行きたいか!』で、
レッツ・グライシーング!
 
 
※この作品はフィクションです。実在の人物・団体・事件などには全く以って一切関係ないんじゃないかなと思う次第であります。
 

*1:1塁側なのに巨人ファン9割。覚悟はしていたが

*2:150キロオーバーの投手が42.2イニング投げて5四球は素晴らしい

*3:マジで聞こえた。声の主は虎ファンだった